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平成25年10月4日

~流れに乗れなかった男女雇用機会均等法改正~


 労働政策審議会雇用均等分科会で検討していた均等法改正の見通しが明らかになってきました。端的にいえば、今回については法改正を見送るということになりそうです。
 つまり、厚労省内で意思決定できる省令や指針の見直しに留め、政治家が国会で一定期間にわたって議論するやっかいな法改正手続きに送るのを諦めたということです。昨年の10月から同分科会で議論が開始されましたが、厚労省幹部は最近まで法改正をめざしていると明言していたので、「諦めた」と表現してよいと思います。
 いくつか要因がありますが、政府の規制緩和の流れに乗っていないというのが最大のネックではないでしょうか。別の厚労省幹部の話では、均等法を見直すにしても罰則や禁止規定の強化は現政権が受け入れてくれないだろうとの見方を、かなり以前から持っていて、結果的にもそのようになりそうです。改めて、民主党政権時代とは政策の流れが大きく異なっていることを痛感します。 同分科会で最大の争点となっていたのは、婚姻や妊娠などを理由とする不利益取扱いについて罰則を強化するというものでした。この問題に関する労働者からの相談・苦情が後を絶たないためです。またセクハラ問題では、被害者の保護と職場復帰のルールをもっと明確にすべきとする提案が出ていました。いずれの課題も当然にして使用者側からの強力な反対にあい、意見集約ができなかったわけです。
 そしてもう一つ、厚労省雇用均等・児童家庭局には、長期間ペンディングとなっていて早く片付けたいパート労働法改正が控えていること、さらには時限立法の次世代育成支援対策推進法の期限延長問題があるなどを考慮すると、どう考えても新たに均等法改正に勢力を注ぐことができないという現実もありました。均等法の改正は、重要法の改正と位置付けられていて、決しておざなりには扱えません。同じ労働部門担当である均等法とパート法の改正を同時期に実行するなどというのは、従来からの慣例からいっても考えにくく、このような様ざまな状況から均等法改正を見送ることにしたと推測できます。
(労働新聞10月7日付)




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