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平成26年6月1日

~2大労働改革の実現か?~


再び労働規制改革が世間を騒がせ始めています。安倍首相は、つい先日「この1年間で労働市場改革がいかに難しいかが分かった。しかし、労働改革なくして成長することはできない。我われはそれを実現することを決意した」(ロイター電)と語ったそうです。アベノミクスの成果が徐々に見え始め、支持率も一定水準にある現政権からの圧力を感じているであろう中央官僚も、可能な改革は積極的に実施すべきとする考え方に傾いているといえそうです。 そこで、国(経済界)は今後数年をかけて2大労働規制改革の推進を求めたいとの方針と思われます。いわゆる①ホワイトカラー・エグゼンプションと②解雇の金銭解決制度です。
①ホワイトカラー・エグゼンプションは、おおよそ1000万円の年収水準を条件に原則的に労働時間規制を適用除外とするものです。一般に最も懸念されるのが、労働時間規制の適用外となることによって、残業手当がゼロになり、労働者の生活の打撃となることです。従来から「残業代ゼロ法案」といわれてきた所以です。 しかし、労働現場を少しでも知っているなら、ホワイトカラーのサラリーマンで年収1000万円もあれば、もともと重要な役職、ポジションに就いていて、「管理監督者」に限りなく近い者であり、大部分において実態的に残業手当など支払われていません。賃金は主に成果や役割評価、会社に対する貢献度評価に対して支払われています。そうした階層に対し、本人同意の上、労働時間規制を外すことができれば、労働時間と生活時間の双方の活用における自由度が飛躍的に向上することが考えられます。年収低下要因とはならない一方、ワーク・ライフ・バランスに寄与し、労働の効率が上がる方向に進むでしょう。しかし、その後年収条件の引き下げや適用対象の範囲を幹部候補生(一般職員を含む)にも拡大する経済界の要望(厚労省は反対)もあり、労働界の抵抗も強くなると思われます。
次に、解雇の金銭解決制度です。裁判などで解雇無効となり原職復帰が認められた場合、一定の方式で算出した解決金額を支払うことにより、労使合意の上退職させることができる制度です。日本の職場環境や労使の心情など多角的に考えても、極めて合理的な制度ではないでしょうか。もちろん労使協議により、原職復帰が可能ならそれに越したことはありません。労働者側にとって解決金額がおおよそ把握できるとともに、中小零細企業で横行している安易な解雇にある程度ブレーキがかかるのではないでしょうか。しかし、反対に労働界は解雇を安易に助長させることに繋がると反対し、今回も見送られそうです。




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