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平成29年4月1日

具体化した解雇金銭救済制度


 厚生労働省が、とうとう解雇の金銭救済制度のたたき台を明らかにしました。法律上どう規定するかなど技術的内容に踏み込んでいますので、専門外の者にとっては理解が難しいのが実際です。
厚労省の担当部署による説明によると~ポイントとなるのは「一回的解決」の部分と考えられます。金銭救済制度は、古くは10年以上も前の平成15年から検討され続けていて、当時考えられていたのは「司法判断」に基く仕組みだったようです。新たに権利義務を規定しない「司法判断」による方法では、少なくとも解雇無効判決と金銭をいくら支払えという判決が必要で、こうなるといわゆる「一回的解決」が難しく、労働者側に費用や時間が余計に掛かってしまいます。
 そこで、仮に解雇時金銭救済法を新法として制定して、権利義務関係を一括して規定する方法が考えられています。裁判所がこの新法に基づいて解雇無効と同時に一定額の金銭支払いを命じることができるというわけです。 ただし、制度案の検討は今年に入ってスタートしたばかりで、必ずしも上記の通りとなるとは限りません。なにしろ連合の神津会長は「解雇の金銭解決制度は、たとえ労働者が解雇無効の判決を勝ち得たとしても、会社が解決金を支払えば、労働者を職場復帰させなくともよいという仕組みであり、職場復帰の道を閉ざす制度である」として、大反対しています。制度の必要性のところら意見が分かれているのが実情で、まだ入口に立ったばかりです。制度創設の方向となったとしても、次に問題となるのが救済金水準の決定です。労使間で綱引きとなるのは目に見えています。
 解雇の金銭救済は、仕組みはそれぞれ異なっているものの、ドイツやフランスなど欧州先進国ではすでに制度化され運用されているもので、日本が後れを取っているといわれています。しかし、労働紛争の訴訟数が年間数十万件に及ぶ欧州と日本とは環境が異なっていて単純に比較できないという声も出ています。皆様は、必要か不要かどう思われるでしょうか?





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