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平成29年12月1日

有期労働契約「クーリング期間6カ月」は違法?―自動車産業


 トヨタ自動車などの大手自動車メーカーが、労働契約法上の無期転換ルールの適用を回避するために、クーリング期間を一斉に6カ月に期間延長したという報道がありました。以前から解雇法理の適用を回避するため、企業によって1~3カ月程度の労働契約の空白期間を設けていましたが、今回、一律に6カ月にしたということです。報道では、その理由として、「労働契約法の改正」を挙げたとしています。それが事実なら脱法行為の可能性が高まります。 しかし、これから厚労省が事実確認を行うところで、今のところ違法か否かは不明ということでした。そこで、違法か否かの分かれ目を一般論として聞いたところ、次のような回答がありました。
 つまり、6カ月後のクーリング期間終了後に再雇用を確約していた場合などは問題となるとしています。この場合は、無期転換ルールの適用を回避するための期間延長の可能性が高く、何らかの対処をするかもしれません。ただし、労契法は民事ルールを定めたもので、仮に違法だとしても監督指導は行えません。せいぜい法令の周知啓発に留まります。 一方で、クーリング期間を置き6カ月後に優先的な募集を行うことについて自由意思により労使合意していれば、何ら違反とならないという見方もあるようです。いずれにしても、細部にわたる明確な判断はできそうにありません。
 民事裁判としては次のようなケースも考えられます。たとえば、1カ月後に明示的あるいは黙示的にも再雇用が約束されていたのを、脱法目的で一方的に6カ月後に再雇用始期を延期された場合、無収入期間が長期化し、労働者側の不利益となってしまいます。
 6カ月も待てないといって別の企業に就職できればいいですが、就職できない者にとっては死活問題となります。従いまして、黙示的であっても事実上の契約更新の期待が合理的に生じていた場合、民事裁判でどう転ぶかは分かりません。脱法行為なら無期転換申込み権が認められる可能性もあるわけです。
 逆に考えれば、再雇用の約束などせずにきっぱり雇止めし、6カ月後に一般募集する形ならほぼ問題とならないかもしれません。いずれにしても、労使合意の上で条件設定することが、何より重要といえます。







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