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平成30年3月1日

「働き方改革」~待遇格差の比較対象者は~


 経団連の経営労働政策特別委員会報告では、今春の賃上げ問題のほかに、働き方改革に対する姿勢、対応について触れています。今国会で法案が成立した場合に備えて、今から様ざまな準備をしていかなければなりません。なかでも同報告が注目しているのは、同一労働同一賃金に対する準備です。「雇用・労務管理のあり方に極めて大きな影響を与える」と述べていますので、その背景を探りたいと思います。
最も気にしているのは、社員間の待遇差が不合理かそうでないかについて、説明義務が強化される点です。パートや有期雇用者から求められた場合、比較対象となる無期雇用フルタイムとの待遇格差の理由に関して説明する義務が生じます。
 この場合、「雇用形態が違うから」という一括した説明だけでは不十分で、個々の待遇ごとに違いの理由を説明しなければ法違反になるとしています。このため、労働条件はもちろんのこと、関係する規定、運用実態などについて詳細に検討し、労組とも協議しながら今から見直しを図っていくよう勧めています。賃金支給などの運用上、あいまいな部分を残して改正法が施行されると、説明が困難となりかねないということでしょう。
 派遣の場合はさらに複雑です。比較対象者が派遣先労働者とされると、派遣先は比較対象者の待遇に関する情報を派遣契約締結前に派遣元に提供しなければならなくなります。比較対象者の選定や提供する情報の内容・範囲について整理しておかなければならないばかりか、機密性の高い情報提供の可否を含めて慎重に検討すべきとしています。
 時間外労働の上限規制や高度プロフェッショナル制度などが世間の注目を集めていますが、同一労働同一賃金への対応も細心の注意が必要のようです。厚労省としては、法案成立後できる限り早く政省令を決定し、とりわけ比較対象者の選定の具体的方法を明確にする必要があります。同報告では、企業への過度な負担とならず、しかも誤解が生じない分かりやすいルールにするよう訴えています。







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