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平成30年7月1日

高プロ制は成果主義的賃金が前提


 高度プロフェッショナル制度の「誤解」について、ご紹介します。一部報道や評論で、高プロ制と企業の賃金との関係が一つの焦点となっています。政府が高プロ制の対象労働者の賃金は主として成果に基づいて支払われるといっているが、法案にそんな記述は一切書かれていないと訴えています。
 たとえば、「使用者に対し、成果で評価するように義務付けている規定はなく、それを促すような規定すらない。そもそも成果主義賃金は高プロ制を導入せずとも可能」「『成果とリンクするとは書いていない』と野党は追及した。加藤厚労相は曖昧な答弁ではぐらかし続けた」などという批判です。
 そもそも、最低労働条件を明記する労働基準法に企業の賃金制度を規制する内容を盛り込むことはできないし、異質なものです。企業の賃金制度は、その企業によって全く異なり、同じものはないといえます。たとえば、「成果」とは何を指すかについても、企業や部署、社員によって異なり、一律に規定することはできません。
 このため、先進的な企業では、目標管理制度を導入し、企業と社員間の個別契約とみて、その達成度を成果として位置付けているわけです。数字で明確化されなくても、面談を通じて両者の納得する点が成果となり、これが賃金額につながります。このような千差万別で複雑な企業の賃金制度を最低労働条件に組み込むことはできません。 従いまして、法案に成果主義賃金を規定することは到底不可能です。そこで、厚労省は次のような対応をしています。実は、法案の考え方を示した法案要綱に次のような一文を挿入しています。
 「高度の専門知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものとして厚生労働省令で定める業務」を高プロ制の対象業務に選定するとしています。 この規定では、簡単にいえば成果主義的な賃金制度である業務を高プロ制の対象にするといっています。
 成果主義といっても千差万別であることを考えれば、精一杯な表現でしょう。対象業務選定の大前提が成果主義的な賃金制度であることを示しているということは、冒頭に挙げた批判の「それを促すような規定すらない」というのは誤りです。こうした批判者の多くは、「法案をよく読め」と強弁しますが、全体をよく読んでいないのは、これら一部マスコミ、論者の方々です。(労働新聞社)







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