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令和2年3月1日

~新型コロナウイルス問題で国会の進捗状況は如何か?~


 厚生労働省が、今通常国会に提出を予定していた労働関係法案が無事提出されましたので、ご紹介します。雇用保険法等改正法案と労働基準法改正法案の2本です。厚労省全体でも4本程度と少なく抑えられているので、労働関係2本となるのは致し方ないでしょう。今年はオリンピックがあり、会期延長も考えていないようです。
 しかし、従来からお知らせしていましたが、雇用保険法等改正案は、主要労働関係法5本の改正案を束ねた一括審議法案となっていることに注意が必要です。その5本とは、雇用保険法改正案のほか、高年法改正案、労働施策推進法改正案、労災法改正案、労働保険徴収法改正案です。
 改正の柱としては、まず70歳までの就業支援を企業の努力義務とします(高年法改正案)。厚労省はその後一定期間を置いて義務化するつもりです。企業が行うべき就業支援の選択肢として、高齢者への業務委託やボランティア活動支援を並べた点に特徴があります。他方、マルチジョブホルダーへの保護充実も大きなテーマとなっています。複数就業で合計週20時間以上となれば、新たに雇用保険を適用しますが、今回は65歳以上の高齢者に限っています(雇用保険法改正)。また、労災・通災が発生した場合、複数事業場の賃金額を考慮して労災給付を行うことになります(労災法改正案)。労働施策推進法改正案では、大企業に対して中途採用比率の公表を義務付けます。中途採用に関する情報を広く公表することにより、長期的な安定雇用の機会を中途採用者にも提供していることを明らかにすると同時に、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進させるとしています。
 一括審議法案ではない労働基準法改正案は、賃金請求権の消滅効期間を現行2年から原則5年に延長しますが、当分の間は3年に据え置きます。5年後に再検討するとしていますが、その時に5年になるかは不明です。改正民法に合わせた見直しとなります。雇用保険法等改正法案と労働基準法改正法案ともに一部を除き今年4月1日施行を予定していますので、最速で国会に提出されました。与野党対立法案はないとされているので、思惑通り3月末までに成立するとみて良いでしょう。

<労働新聞>


<追加記事>
 2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなります。
 感染症法により就業制限を行う場合は、感染症法によることとして、労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはしませんが、感染症法の制限に従っていただく必要があります。





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