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令和3年8月1日

~過労死認定は拡大する?~

脳・心臓疾患の労災認定基準が近々に改定されます。前回改定は、平成13年12月なので、20年ぶりです。前回は、最高裁判決を契機とした見直しで、長期間(発症前おおむね6カ月)の過重業務を評価に加え、また対象疾病を脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)、解離性大動脈瘤と整理しました。
労働時間以外の業務における負荷要因を明確化し、具体的に不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い勤務、交替制勤務・深夜勤務などを盛り込みました。
今回改定では、長期間の過重業務の判断において労働時間の長さは疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因としているのは変わりませんが、労働時間以外の上記負荷要因も含め、全体を総合的に考慮する必要があるとしています。労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められる場合には、とくに他の負荷要因の状況を十分に考慮して判断するとしています。要するに、労働時間の長さだけではないといっています。逆に捉えれば、常態として身体・精神的緊張の少ない場合や作業自体が本来間欠的に行われるもので、休憩時間が少ないが手待時間が多い場合、ないし労働密度がとくに低いと認められる場合は、労働時間のみをもって業務の過重性を評価することは適切でないというわけです。このような場合は、他の諸要因も十分考察し、総合的に判断するとしています。
現行認定基準では、「過労死ライン」などといって、労働時間や時間外労働の長さに目を奪われがちでしたが、そればかりではなく、「勤務時間の不規則性」を考慮した方が良いというものです。
その不規則勤務とは、拘束時間の長い勤務、休日のない連続勤務、勤務間インターバルが短い勤務、不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務などで、新たに定義しています。改定によって「過労死」認定がさらに拡大しそうです。

<労働新聞>






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