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令和5年5月1日

~労働時間の自己申告制に要注意~


大阪中央労働基準監督署はこのほど、自己申告制により労働時間を把握していた鉄道会社で割増賃金の不払いなどがあったとして、同社と人事部担当課長ら2人を労働基準法違反の疑いで大阪地検に書類送検しました。同社が残業時間を一定範囲内に抑えるよう指示していたために、人事部員を含む労働者が、一定範囲を超えて従事した分の申告を控えていたといいます。
その結果、割増賃金の不払いや、時間外労働の上限規制に抵触する違法な長時間労働が発生していました。この事案は、自己申告制導入時に懸念される不適切な運用の典型的なケースといえるでしょう。企業においては、割増賃金不払いや違法な長時間労働などの防止に向けた第一歩として、労働時間適正把握ガイドライン(平成29年1月20日策定)に基づいた対応を徹底することが重要です。
同ガイドラインでは、労働時間を把握する原則的な方法として、使用者による現認と、タイムカード・ICカードなど客観的な記録による確認の2つの方法を挙げています。
企業がこれらの方法を採用せず、やむを得ず自己申告制を導入する場合は、労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うよう十分に説明する必要があるとしています。
自己申告できる時間数に上限を設定するなど、適正な申告を阻害するルールを設けるのも許されません。
さらに、自己申告により把握した時間と、パソコンの使用記録などから把握した在社時間が著しくかけ離れている場合には実態調査を実施し、労働時間の補正を行うべきとしています。
たとえ、企業が一定の時間数を超える申告を明確に禁止していなかったとしても、残業の削減目標を設けているようなケースでは、労働者が実際よりも少なめに申告する可能性があります。企業においては、必要に応じて実態調査を行ったうえで、業務配分の見直しなど時間外労働削減に向けた対策を進めることが、とくに重要といえるでしょう。

<労働新聞編集>






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