令和7年10月1日 |
~働き方を巡る労働者のニーズに注目~厚生労働省は、働き方改革関連法の施行後5年を踏まえた「働き方改革の総点検」として、労働時間に関する労働者のニーズや、時間外労働の上限規制への企業の対応状況などに関する調査を実施し、11月をめどに結果を取りまとめる方針です(9月22日号1面参照)。結果は、労働基準法制の見直し議論を行っている労働政策審議会労働条件分科会に報告する予定としています。 同分科会では現在、上限規制の今後の方向性を巡り、労使の意見に大きな隔たりが生じています。そのため、「総点検」の結果が今後の議論に大きな影響を及ぼしそうです。総点検の実施は、今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針)や「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画改訂版」に盛り込まれていたものです。後者は、「働き方改革関連法施行後5年の総点検を行い、働き方の実態とニーズを踏まえた労働基準法制の見直しについて労働政策審議会で検討する」としています。労働者に対しては希望する労働時間数を尋ね、「現状のままで良い」「減らしたい」「増やしたい(上限規制を超えて働きたい)」「増やしたい(上限規制の手前でもう少し働きたい)」のどれに該当するかなどを確認する予定です。 同分科会におけるこれまでの議論をみると、労働者側委員が計画的・段階的な上限の短縮に向けた検討を強く求めているのに対し、使用者側委員は、上限規制のさらなる強化に慎重な姿勢を示しています。 理由として使用者側は、中小企業で慢性的な人手不足となっており、労働時間削減に取り組む余力が乏しい小規模企業では業務の集約が難しく、上限の引下げに対応できないことを挙げています。さらに、現行の働き方改革は、より働きたい、より稼ぎたい、成長したいという労働者のニーズを抑制しているという指摘もあるとして、そうしたニーズに応えられるようなシンプルで分かりやすい柔軟な労働時間法制の検討が必要と主張しています。 総点検によって、「より働きたい」というニーズに関する実態も明らかになりそうです。11月にも取りまとめられる結果に注目したいと思います。 労働新聞 |
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